第66回有馬記念。
今回の中山開催は比較的天候が安定していることもあり、馬場状態はまだ良好。
先週の芝のレースを見ても、ペース次第では外差しも決まるものの全体的には内の先行が有利なケースが多かった。
土曜日の降雨がどの程度影響を及ぼすかはわからないが、少なくとも過去3年とはかなり違った馬場になるのではと踏んでいる。
昨年はペースは速くなかったが馬場の内がかなり荒れていたことで、クロノジェネシスがマクり切ってフィエールマンを捕らえたところをサラキアが大外強襲で2着というレース。
2019年と2018年は逃げたい馬が外枠に入り、それらの馬が中途半端な競馬をしてコーナー6回のコースでずっと外を回らされるのを嫌って腹を括った逃げを打ったことでハイペースになっての差し決着だった。
今年の馬場状態ならば、後方からの馬は展開に恵まれないと厳しいだろう。
その展開についてだが、内の偶数番に入ったパンサラッサは前走福島記念で序盤からスプリント戦ばりのラップで逃げている。
おそらくこの馬がレースを引っ張ると思うのでそうなればスローペースは考えづらい。
あとは2番手の馬の動向で全体のペースが決まりそう。
大外枠に入ってしまったタイトルホルダーとしては、パンサラッサがテンから飛ばして後ろを引き離した逃げに出たところで他馬との間にできたスペースに切れ込んで離れた2番手を取りたいところだろう。
そこをうまく乗り切れればタイトルホルダー以後はある程度落ち着いた平均ペースになる。
しかしスタート地点からすぐコーナーを迎える中山2500mで大外から先手を取るにはどうしてもスタートから脚を使わなければならず、そこのコントロール次第ではパンサラッサの刻むラップにお付き合いしてしまうリスクもある。
更に、1つ隣の15番のキセキの動向もカギ。今年の宝塚記念で福永さんが乗った時は正攻法の競馬ができていたが、
やっぱりゲートは不安定で出てみないとわからない面は残っている。
また出遅れる可能性も充分だが、先行させる競馬に定評のある松山Jに乗り替わってうまくスタートを出せたならタイトルホルダーに付いていく形を取ると思う。
あくまでゲートを出れば、という仮定だが松山さんなら思い切った先行策だろう。
つまり、パンサラッサハナ→キセキは出遅れ→タイトルホルダーは序盤脚を使わざるを得ないが何とかパンサラッサと他の馬達との間の2番手のスペースに入り込む→兼ね合って2番手以降は平均ペース。(雨の影響は大したことない)
というのが自分のメインシナリオではある。
が、パンサラッサハナ→キセキがスタートをまともに出て先行策→タイトルホルダーも出して行くが内の2番手のスペースを取るのに手こずる→前がやりあってハイペース。(雨の影響も多少出ている)
というケースも考えておきたい。
まずはエフフォーリア。
天皇賞秋で2着に負かしたコントレイルがジャパンカップを勝利したことで、更にこの馬の評価が高まった。
さすがに前走の状態が完璧すぎたので今回は当時ほどのデキとは言えないとは、相変わらず正直な武史Jのコメント。
しかし、エリザベス女王杯のウインマリリンの時ほどの低いトーンではないので特に問題ないと見たい。
距離の不安が指摘されているが、2400mのダービーは自分から動いて勝ちにいく競馬をしての紙一重の差だし中山2000mで稍重発表だった皐月賞は後続を突き放して圧勝している。
距離もコースも不安は感じない。
ダービーや天皇賞秋はスローペースの競馬。
まだ本格的なハイペースのレースは経験がないが、皐月賞は稍重の割にはそこそこ流れたレースだったしレース運びのうまいタイプなのである程度は柔軟に対応可能だろう。
枠順も極端なところでなければ特に問題はない。
もう既に現役最強馬の最有力候補。軸はここから。
クロノジェネシス。
どうも陣営のトーンが上がってこない。凱旋門賞から帰国後の調整に苦労している様子が伺える。
大事に使われてきているとはいえ、2歳時からずっと第一線で走り続けてきたし5歳終盤を迎えて少し調整に難しいところが出てきたのかもしれない。
この点だけが不安で少し割り引いて考えたいが、それ以外の要素を踏まえればやはり外せない存在。
そもそも前走の凱旋門賞も7着とは言っても一瞬は「オッ!?」と思わせるところがあったし、着順ほど酷い惨敗という印象はない。
過去にはレースに参加できずに回ってきただけという負け方の日本馬もいたので、それに比べればまだマシ。
昨年の有馬記念は序盤は後方から追走し、フィエールマンの動きを見ながらマクりを決めて前を捕らえ
その上で後方からの追い込みも凌ぎ切るという強い内容。
今年の宝塚記念はスローの前残りの流れを好位で楽々と追走し、逃げた2、3着馬を直線でしっかり捕らえて突き抜けた。
今ならどんな競馬でもできる。荒れた馬場も道悪も苦にしない。
現5歳牝馬は桜花賞馬がグランアレグリア。オークス馬がラヴズオンリーユー。秋華賞馬がクロノジェネシス。
まさに最強世代。
3冠を分け合ったグランアレグリアとラヴズオンリーユーは先日、どちらも引退レースを勝利で飾っている。
この馬も続けるか。
ウインキートス。
前走のエリザベス女王杯は関西圏への初参戦が影響したのか、レース前から落ち着きもなくイレ込み気味で走りも案外だった。
しかし中山は得意で堅実に走れている。崩れたのは大きな不利を受けた日経賞くらい。
もともと距離を延ばしてから結果が出始めた馬なので2500mもプラス。
レースぶりも安定して好位が取れているのでまだ見限れない。
今の中山の馬場状態ならば3枠6番というのは絶好枠と言える。
行きたい馬を行かせて平均ペースで流れたところを内めの好位4〜5番手あたりでソツなく立ち回る競馬がイメージしやすい。
重賞勝ちはまだ目黒記念の1勝だけで、対ウインマリリンで分が悪い戦績なのでそれを物差しにすれば現時点で格は下なのは間違いないが、楽しみは充分ある。
ゴールドシップ産駒ということで、グランプリに置いてはステイゴールドの血も頼もしい。
ステラヴェローチェ。
2歳時の1600mでのデビューからの距離延長にも道悪にも遠征にも対応して常に堅実に駆けている。
無冠だが3歳世代の強豪の一角と言えるまでに成長している。
前走の菊花賞は流石に距離が厳しいかと思ったが、2着のオーソクレースが早めに外に張り出したこともあって
かなり外を回る競馬になった割にはしぶとく伸びていた。どんな形になっても終いは確か。
後方からのレースが多いので、Mデムーロに乗り替わったことで新味にも期待したい。
対エフフォーリアと対タイトルホルダーの戦績では分が悪く、特に皐月賞とダービーでのエフフォーリアとの差は決定的に見えるので勝ち切るには展開や馬場の恩恵がほしいところ。
タイトルホルダー。
前走菊花賞は見事な勝ちぶり。
最初の1000mを3000mのレースにしては速いペースで入り、中間の1000mでガクッとペースダウン。そしてラスト800mからロングスパートしていくという競馬で、横山武史の絶妙なペース配分が大きな勝因だと思う。
そう考えると、別に横山和生Jが悪いワケではないが乗り替わり自体がやや割引か。
そして何と言ってもこの大外枠。中山2500mはスタートしてすぐコーナー、というよりほぼコーナーからスタートみたいなもの。
最初の正面スタンドあたりまでに取りたい位置をうまく取ることができたとしても、どうしても序盤に余分に脚を使わなければいけないので最後のお釣りに影響してくる。
かと言って控えるとずっと外を回らされるリスクがある。
この10年、有馬記念で多頭数の8枠が馬券になったのは2018年のシュヴァルグランのみ。
しかもこの時はハイペースで差しもきく展開と馬場だった。
データからはかなり厳しい。
ペルシアンナイト。
昨年の有馬記念は7着だが上がり3Fは2位タイ。
札幌記念で2年連続好走したことを考えても小回りコースで一瞬の脚を活かす競馬は得意パターンなのだろう。
マイル中心に使われていた頃もどちらかというと少し時計がかかった方が好走率が高いので、中山も合っている。
2500mの距離は確かに長いが、今年は最内枠を引いた。
道中はなるべく動かず内でジッとして直線だけ脚を使うような競馬が上手くできれば食い込みがあるかも。
東幹久氏もきっとブレずにこの馬を狙ってくることだろう(笑)
昨年のこのレースも終いは脚を使えているので、Cデムーロさんには詰まるのも覚悟の上でインベタで脚を溜めてもらいたい。
アサマノイタズラ。
正直、デビューから乗っていた嶋田純次Jが勿体ない騎乗をしてしまっていたと思う。
やっぱり彼は千直専門かww
田辺Jに乗り替わってからのここ2走は自分のスタイルを確立できた感がある。
前々走のセントライト記念は鮮やかな追い込み勝ちだったし、前走菊花賞は展開が向かなかったが最後まで内からジワジワ伸びていた。
今回のこの枠なら、おそらく小細工はせず腹を括って後方待機から終い勝負に徹してくると見る。
強い3歳世代の中では地味に映るが、セントライト記念で負かしたソーヴァリアントが
先日のチャレンジカップを大楽勝したことを物差しにすればこの馬も結構やれるかもしれない。
どうしても馬場状態と展開頼みにはなってしまうが、雨の影響が少しでも出て外差しもある程度勝負になり、冒頭で述べたような思わぬハイペースにでもなれば無欲の追い込みがハマる可能性がある。展開を決め打ちするなら面白い1頭。
毎年同じことを言っているが、有馬記念は多頭数の外枠は不利。
それを念頭に予想しているが結局毎年当たらない…(苦笑)
今年こそはと言い続けて16年である。