第38回マイルチャンピオンシップ。
阪神はAコース使用7週目。先週のエリザベス女王杯を見ても芝は内めが荒れて時計もかかっている。
外回りは内回りの3〜4コーナー付近に比べるといくぶん損傷はマシだが、それでも例年のような高速馬場のイメージではない。
ある程度時計はかかり、直線は外が伸びやすいだろう。
平均ペースで流れる見込みで、速い時計と速い上がりだけに特化した勝負にはならないと見る。
シュネルマイスター。
デビュー当初はいかにもヨーロッパ血統らしく札幌や中山の時計を要する馬場で強さを見せており、NHKマイルカップの時点では高速決着が不安と思われた。
が、結果的には東京の高速馬場で更にパフォーマンスを上げており1600m前後の距離では既に現役最強候補と言っていい。
NHKマイルカップはメンバーのその後を見ても近年稀に見るハイレベルのレースだった。
安田記念も際どく差を詰めることができたし、前走毎日王冠ではその安田記念でグランアレグリアを抑えて勝利したダノンキングリーにリベンジを果たし勝利。
ダノンキングリー自身、東京の良馬場の1600〜1800mがベストの馬でありそれを負かした意義は大きい。
グランアレグリアと比べても遜色ない力がある。
あとは初となる関西への輸送だけがカギ。関西初経験の関東所属の3歳馬がマイルCSを制した前例はないが、この馬自身はレース運びが上手なタイプでもあるし壁を越えていけると信じたい。
グランアレグリア。
天皇賞秋を見ると、2000mもこなせないことはないが一線級相手だと厳しくやはりベストは1400〜1600mの馬。
ここなら中心視は当然だろうが、これまでも間隔を詰めて使われるとパフォーマンスを落としている。
同じ中2週の間隔だった春のヴィクトリアマイル→安田記念の2走では、いくら相手関係が違うとはいえ別馬のような走りだったと思う。
ただ、今年の馬場状態で昨年のような内枠なら厳しかったかもしれないが有力馬の中ではこの馬が最も外に入りしかも偶数番。
この並びなら安田記念のように後方からになったとしても、序盤の位置取りはあまり気にせず馬場のいい外目を走って末脚を活かす競馬でいいだろう。
若干不安要素はあるが、枠の並びからはグランアレグリアが最も競馬のイメージを組み立てやすそうである。
サリオス。
昨年の当レースが大外枠から出遅れてロスの大きい競馬になってしまい5着。
前々走の大阪杯は距離や馬場に泣いた面もあったが、内外離れた形になりこの馬得意の併せる形に持ち込めなかったのも敗因だと思う。
前走の安田記念もスタートでやや遅れて位置を悪くし、直線もスペースをなくす場面があった。
このところ、ずっとチグハグな競馬が続いている。
今回と同じ阪神1600mの朝日杯FSを勝っているのでコース自体は問題ないし、
当時はやや時計がかかる馬場の中ハイペースのレースを先行して押し切るという内容。他の上位馬は差し追い込みだったのだから強い競馬だった。
稍重だった昨年の皐月賞でもコントレイルに食い下がっての2着。
パワーのあるタイプなので今の阪神の馬場は向いている。
昨年のマイルCSと今年の安田記念で出遅れているので、内の偶数番を引いた今回こそしっかりスタートを決めて先団~好位で運び直線で外からきた有力馬に馬体を併せるというサリオス本来の競馬をしてもらいたい。
牡馬の4歳世代のレベルがかなり怪しいので心もとないが、もう少しやれてもいい馬だと思う。
ダノンザキッド。
2歳時にはタイトルホルダーを全く問題にしなかった実力馬だが
この春はカッカしやすい気性も災いしたか、全く期待外れに終わってしまった。
皐月賞後に骨折が判明。半年以上休養しての前走富士ステークスだったが見どころは充分。
直線は一瞬は突き抜けてきそうなほどの手応えに見えたが、伸びきれなかったあたりは
ブランクの影響か。見せ場は作ったし距離もこれくらいの方がいいのかもしれない。
時計のかかる芝でも走っているし、今の外が伸びる馬場なら枠の並びもいい。
ただ、富士ステークスでは昂ぶりすぎて本馬場入場でちょっと危ない場面があったほどで気性の問題は残ったまま。
1度使われたことで少しでも落ち着きが出てきてほしいところ。
ダーリントンホール。
皐月賞以降は出遅れが常態化しておりアテにしづらい馬だが、前走富士ステークスは
長期休養明けで初のマイルという厳しい条件の割には終いよく伸びていた。
1度使われたことでこの馬なりに上積みも期待できる。
もともと1800mでデビューして、共同通信杯を勝利してクラシックに挑戦したのだが
結果は惨敗。
案外距離は1600mくらいの方がいいのかもしれない。
サドラーズウェルズ系で完全な欧州血統の馬であり、今まで1度も33秒台の上がりを出したことがない。
極端に速い時計や速い上がりが要求される馬場は向いておらず、富士ステークス当時は東京の良馬場の割には少し時計がかかっていたので何とか対応できたという感じ。
今の阪神の馬場は芝が荒れてきていてパワーを要し、そこまで速い時計や速い上がりは求められない。
どうせまたスタートは遅いだろうし、開き直って終いに賭ける競馬でいい。
内が荒れてきて時計もかかる外差しの馬場を味方につけての激走がある。
穴を狙うならこれ。それでもせいぜい5~6着あたりが精一杯かもしれないがww
グレナディアガーズ。
NHKマイルカップの後、川田さんが「今後は違う路線に行くかもしれない」といったコメントを残していることから1600mがベストかどうかはまだはっきりしない感じが
伝わってくる。
朝日杯FSで1.32.5の時計を出しているように、スピードが勝ったタイプで今回のような馬場より高速馬場の方が向いているようにも思う。
これらの点が不安ではあるが、過去2走を見ればまだ底を見せていない魅力もある。
前々走NHKマイルカップはスタートして先団に取り付き、3角あたりから荒れている内を嫌って早めに進路を外に取った。
この選択が災いし、馬がガツンと行く気になってしまいかなり早い段階で先頭に立つ形に。
東京コースでその競馬ではさすがに厳しく、後続からちょうどいい目標になってしまったが何とか能力で3着は確保した。
前走京成杯AHでは内が有利とされる中山1600mで最内枠に入りしかも開幕週。絶好の条件に思われた。
しかし、中山開幕週で内枠なのに大外ぶん回しという最悪なレース運びで3着。
勝ち馬のカテドラルは4コーナーで内めを回って直線も馬群を捌いて距離損を抑える騎乗で伸びてきたし、2着馬は逃げたコントラチェック。あまりにもロスが大きかった。
道中で少しトモを落とすような場面があって位置を下げてしまったがそこまで致命的な不利でもなかったのではないか。
NHKマイルはまだ酌量の余地があると思うが、このレースは完全にク〇騎乗(笑)
今回こそスムーズに。それが陣営の願いだろう。
まともならここでも通用する可能性はある。
主戦の川田さんがダノンザキッドと被ってしまったこともあって乗り替わりだが、
ここで「代打の神様」の登場となって過剰に人気している。
馬券的な視点ではちょっと扱いが難しい。
インディチャンプ。
マイル路線の上位安定勢力で毎回確実に走ってくる馬だが、グランアレグリアのは1度も先着したことがなく安田記念では初対戦だったシュネルマイスターにも先着されてしまった。
福永さんは毎回うまく乗っていると思う。特に悪い材料もないのにちょっと足りない結果が続いているのでこの力関係を逆転するのは容易ではない。
昨年の当レースも完璧に乗られたと思うがそれでも上を行かれた。
ただ、一昨年にマイルCSを勝利した時が結構な荒れ馬場。今年は道悪の高松宮記念でも3着しており、今の阪神の馬場は案外味方にできるかもしれない。
それでも逆転までは厳しく、連下まで。
とにかく、今の阪神の馬場がグランアレグリアとシュネルマイスターにはどうかと盛んに言われているが、冒頭に述べたように外回りは内回りに比べるとまだ損傷はマシに見える。
先週のエリザベス女王杯は勝ち馬の35.7が上がり3F最速だった。
レースの流れもあるが、外回りの今回はさすがにそこまで極端に上がりがかかる事態にはならないと思う。
「またぞろ人気馬総崩れの危機か!?」みたいな煽りはスルーして大丈夫だろう。
今回の勝負気配は「B」とします。
しかし掲示板なんかを見ていると、代打の神様への期待が先走りすぎている感がある。
皆さん、ちょっと落ち着いてください(苦笑)