第16回 ヴィクトリアマイル。
Aコースだった先週はラチ沿いよりも外の方がやや伸びがよかったが、今週からはBコース。
土曜日のレースを見ると傷んだ内がある程度カバーされ、極端なトラックバイアスとまではいかないものの内が伸びるようになっている。時計も速い。
今回は短距離でも先行していたイベリスがいて、他にもスマイルカナにクリスティ、そしてレシステンシアがいてペースは速くなるだろうがそれでも先行馬が不利とは言えないかもしれない。
力が抜けているのはやはりグランアレグリア。
前走大阪杯でG1連勝が途絶えてしまったが、道悪の2000mでは仕方ない面もある。
それまでのG13戦では安田記念でアーモンドアイを、スプリンターズSでダノンスマッシュを、マイルチャンピオンシップでインディチャンプを負かし、強い相手を圧倒している。
良馬場の東京1600mはベストで高速決着は望むところ。
しかも牝馬限定戦なら負けられない。
マルターズディオサ。
前に行きたい馬が揃った中、レース運びの上手いタイプのこの馬にとってはスンナリと
好位に収まりをつけて運ぶ形が取りやすい。
昨年の秋華賞は道悪で外差しのききやすい馬場で逃げを打ってハイペースを演出した形だが、外からの差し追い込みが上位を独占する中でただ1頭内から粘りを見せた。
強い内容ではあったが最後は止まって7着という点を踏まえても2000mだと若干長いのだろう。
一気の距離短縮となった前々走の阪神カップはあっさりと1400mに対応して2着。勝ち馬ダノンファンタジーの強さが目立ったが、枠の差もあった。流れが変わってもしっかり先行できたし、インディチャンプには先着しているので充分評価できる。
前走高松宮記念は、さすがに1200mだと忙しく中団から。久々の左回りで少し外に膨れて走っていたが、道悪で各馬外に張り気味だったし自身外枠でもあってやむを得ない面もある。
やはり1600mの良馬場がベスト。
左回りに関しても、良馬場でこの枠ならそこまで心配する必要はないだろう。
ハイペースになっても簡単には止まらない。
リアアメリア。
前走阪神牝馬ステークス。
展開自体はスローペースの上がり勝負となり、この馬得意の形であったはずだが全く脚を使えず凡走。出遅れが痛かったのは確かだがそれでも伸びなさすぎ。
やはり右回りが今ひとつとしか考えられない。
昨年のローズステークスとオークスの内容からも左回りがベスト。
そのオークスは直線で突き抜けそうな手応えに見えたが最後に少し伸びを欠いたし、エリザベス女王杯でも直線向いた時は勝負になりそうに見えたが失速したあたり、2000mを超える距離は長い。
良馬場の東京1600mはベスト。案外脚質の幅は広いのでどんな競馬でもできそう。
スローペースの上がり勝負でしか結果を出していないので、ペースが緩みそうにないのがカギになるがここで走らなきゃいつ走る?というくらいの舞台設定である。
レシステンシア。
大外枠に入り陣営も苦い顔。
だがハナに拘るワケではないし、同型が多いことを考えれば他の逃げ馬の出方を伺いながらいい位置を取れるのではないか。
もともとスピードの持続力が持ち味。
スローペースで瞬発力が求められる展開になってもメリットがないので、高速馬場でのタフな流れは歓迎だろう。
カギとなるのは距離だと思っている。
阪神JFの時に1400mしか走っていないことを理由に軽視して痛い目にあったが、結局距離短縮してきているのでやはり陣営もスプリント適性を見込んでいるのだろう。
マルターズディオサもスプリント転向を経てからここに参戦だが、マルターズディオサと違ってこの馬はスプリントを使ってからの方が内容も結果もいい。
実際、阪神JFを勝って以降マイルは(0.2.1.1)で勝ち切れていない。
実力は上位なので距離適性だけがポイント。
サウンドキアラ。
昨年の2着馬。周知の通り、ヴィクトリアマイルはリピーターレースなので皆警戒しているだろう。
昨年ほどの勢いにはないが、昨秋に比べるとここ2戦のレース内容は良化。
復調気配は見せている。ベストは1400mのようにも思うがマークはしておきたい存在。
マジックキャッスル。
前走阪神牝馬ステークスは勝ち馬にうまく乗られ内に進路を切り替えざるを得ないロス。
まともなら勝っていたかもしれない。
愛知杯やオークスの内容を見ると左回りの方がよさそうで逆転を見込む。
ただ阪神牝馬ステークスはいかにも前哨戦といった感じの、スローペースの瞬発力勝負となった。
本質的に少し1600mは短いと思うので、高速馬場で速い流れになってシビアにマイル適性を求められるとどうかというところ。
あと、脚質とこれまでのレースぶりを見れば
この枠は微妙。うまく捌きたい。
デゼル。
阪神牝馬ステークスの勝ち馬。
スイートピーステークスを勝ちオークスでも人気を背負ったように、東京コースは向くので更なる前進を見込む。
ただ、この馬もマジックキャッスル同様マイルはやや忙しいと思う。
その辺りの対応がカギ。
過去、ヴィクトリアマイルでは1600mより長い距離に適性のある馬が人気を背負ってこの時期の東京独特の高速時計に対応できず敗れるというケースも目立つ。
今年は阪神牝馬ステークスの1、2着馬が
1600mがやや短そうなタイプ。
阪神牝馬ステークスは例年緩い流れになりがちでヴィクトリアマイルは締まったペースになりがち。
同じ1600でも、流れや馬場状態の違いで直結しないことがある。
展開、脚質、馬場状態、距離適性から考えてグランアレグリアの相手筆頭にしたいのは
マルターズディオサになる。
さて、どうなるか…。
今回の勝負気配、「A」とする。
ペースが速くなったとしても、差し追い込みはあまり外を回し過ぎると届かないケースが考えられる。
実力的に抜けているグランアレグリアの相手をどういう基準で選んでいくかがポイントとなる。