第26回秋華賞。
今の阪神芝は例年のこの時期のイメージとはちがい、開幕週の先週からすでに
少し時計がかかっている。
まだ内有利ではあるが、16日夜~17日明け方までの雨量次第ではまた外からの差しが
利いてくるかもしれない。
京都競馬場改修による変則開催の影響もあってか、発表されているクッション値もあまり高くない。
おそらくレース時は良か稍重だろうが、内外のトラックバイアスの変遷には注意したい。
ソダシ。
前走札幌記念は斤量差があったとはいえラヴズオンリーユーとペルシアンナイトを
抑えて凌ぎ切ったのだから同世代の牝馬同士のここでは中心視は当然。
距離は2000mがギリギリかもしれないが、内回りコースはこの馬に合っているし
函館と札幌で(3・0・0・0)なので力のいる馬場も問題ない。
枠も内の偶数番を引けたので、ハナを主張するであろう隣のエイシンヒテンを行かせての
2~3番手で運んでくるだろう。
オークスは距離が長かった上にマークされる立場にもなって敗れたが、あの時よりは
今回の方が競馬を組み立てやすい。
直線で併せる形になるとしぶとくもうひと伸びするので、後続の差し馬は最後はこの馬と離すために外を突いてくるか。
あまり外差し馬場にシフトしすぎるとそういった強襲に合う場面はあるかも知れないが、それでも大崩れは考えづらい。
ファインルージュ。
春は桜花賞で3着。福永さんの騎乗が完璧だったこともあるが、世代上位の力は見せた。
オークスは距離の壁があったか、全く見せ場なし。
今後の路線を占う意味もあって前走紫苑ステークスを使われたワケだが、開幕週の内有利の馬場で外を回ってあっさりと差し切り更に突き放すという圧巻の勝ちっぷりだった。
2000mで結果を出したのも大きな収穫。
あと、左回りより右回りの方がいいタイプなのかも知れない。
枠順とルメールのコメントから考えれば、勝負所はソダシと馬体が合わないように
外を突いてくる作戦か。
道悪にまでなってしまうと微妙だが、前夜に雨が降って当日には良~稍重程度に回復して外差しが利いてくる馬場になればこの馬にとっては競馬がしやすそう。
アナザーリリック。
春は道悪のアネモネステークスを勝ったあと、NHKマイルカップに挑戦しG1の壁に跳ね返された。
もともとデビュー当時から騎手が何度も「距離は1600mより伸びた方がいい」とコメントしていたし、時計もこの馬には速すぎたのかもしれない。
そこから休養を挟み、距離を伸ばしてきた前走の佐渡ステークスで3勝クラスを勝ったワケだがその内容が出色。
当時の新潟で大外を回して差し切るだけでもなかなかのものだが、2着だったゴルトベルクはその次走でしっかり自己条件を勝ち上がっているし3着だったモズナガレボシは
次走、低調なメンバーだったとはいえ小倉記念を勝った。
単純に考えれば、アナザーリリックは古馬オープンクラスの実力を持つ馬を全く寄せ付けなかったということになる。
ラヴズオンリーユーやペルシアンナイトやブラストワンピースを抑えこんだソダシも
凄いが、こちらも高く評価していいのではないか。
少し時計がかかる外差し傾向の馬場にでもなれば更にこの馬に向きそう。
ただ、2000mは初めてで関西遠征も初。
どうしても不安要素はついてまわるが、考え方を変えれば思わぬ大敗を喫しても
言い訳できる材料は揃っているのだからデビューから乗り続けている津村さんにおかれましては変に気負わず自然体で競馬に臨んでもらいたいww
アールドヴィーヴル。
前走のローズステークスが3着。
やや物足りないが、直線で少し窮屈になる場面もあったのである程度は仕方がないか。
あまり器用に動けるタイプではないので内回りコースの克服はカギになるが、新馬戦を勝った時に不良馬場で出した上がり3F34.9というタイムはかなり優秀。
この馬も時計のかかる外差しの馬場になればプラスになりそう。
ここまで桜花賞5着、オークス5着、ローズステークス3着とそこそこ上位には顔を出すもののもう1歩足りないという競馬が続いているので、決め手を生かしやすいシチュエーションになれば前進があっていい。
道悪になればこの馬か! と思っていたがそこまでの悪化はなさそうなので、
自分の中で評価をやや下方修正したところである。
アンドヴァラナウト。
ここに来て「さすが良血馬」と思わせる上昇ぶり。
前走ローズステークスは「中京の鬼」こと福永さんのエスコートも完璧だったとはいえ
完勝と言っていい内容だった。
これまでは先行する形が多かったのに差す競馬にもあっさり順応したのだからレースセンスも高い。
ローズステークスが始まる時点ではまだ1勝クラスを勝ったばかりの身だったし、
夏から使いこまれており前走がメイチだったのでは?との懸念から信頼は置きづらいが
侮れない存在。
ユーバーレーベン。
小回りコースだったり時計が速すぎたりすると差し届かないことも多いが、
少し時計がかかったり厳しい展開になるとめっぽう強い。
ソダシにあと1歩及ばず2着だった札幌2歳ステークスにしても距離延長で本領発揮となったオークスにしても、瞬発力や速い持ち時計よりも底力が問われるレースだった。
ここでも、阪神内回りコースが向くとは言えないが速い時計の出る馬場でないのはこの馬にはプラス。
…のはずなのだがやはりそれは順調ならの話。
オークス後に見つかった炎症に関しては軽度なものだったということだが、正直ここにはギリギリ間に合ったという感じ。
力は認めても強くは推しづらい。
アカイトリノムスメ。
今回のぶっつけの参戦は予定通りだし、厩舎もノウハウはあるだろう。
初の関西遠征だった桜花賞で4着。関西への輸送も1度経験済なのは心強い。
ただそれでも、この馬の戦績を見ると母アパパネに似たタイプなのではないかと思ってしまう。
新馬戦で1度敗れたあとに勝ち上がっているし、春もクイーンカップ→桜花賞→オークスと3戦使われた中で最も強い内容だったのはオークスだと思う。
母アパパネはいつも前哨戦でコロっと負けてから本番できっちり結果を出す古典的な叩き良化型の馬だった。
時代は変わったとはいえ、アカイトリノムスメにアーモンドアイやグランアレグリアのようなローテーションが合っているかどうかはまだ疑わしい。
鞍上もちょっとその…アレで…(笑)
個人的には手を出しづらい存在。
もし紫苑ステークスかローズステークスを使ってあっけなく負けてたりしたらよかったのだが。
天候と馬場の変遷を加味して予想しているがそもそも想定通りにはいかないのが競馬だし、また今年も近年の傾向通り臨戦過程も多様で難しい。
今回もせいぜい「C」あたりの勝負気配。
もし想定と違って内の先行有利で時計も速くなったりするなら、ステラリアやクールキャットあたりの浮上も考えるべきか…。