第56回スプリンターズステークス。
今回の中山開催は2週続けて台風の影響があり、先週のメインレースのオールカマーも
馬場傾向に注視していたがCコース替わりということもあり内を通った馬しか勝負にならなかった。
今週は中間の降雨もほとんどなかったようなので、あまり傾向は変わらないかと思いながら1日土曜日の芝のレースをチェックしてみた。
10レース、スプリンターズステークスと同じ芝1200mで行われた勝浦特別は逃げ馬がそこそこ速いペースを作る展開だったが、それでも外からの差しは厳しく
内の先行有利な決着だった。
2勝クラスのレースで勝ち時計が1分7秒台。その後の芝1600mのメインレースの勝ち時計が1分33秒台。
勝利したのは追い込み馬だが内を捌いて伸びてくる競馬で、やはりあまり外を回すと厳しい感じだった。
開催最終週だが、雨の影響があった先週よりむしろ回復傾向にある。
スプリンターズステークス当日も天気は晴れ予報。
このままなら昨年と似たような馬場傾向になりそう。
ならばナムラクレアとメイケイエールとジャンダルムとダイアトニックの
4頭だけ買っとけば当たるんじゃね?とか考えているが、まぁそううまくは行かないのが競馬である(苦笑)
一昨年は内側がかなり荒れた馬場に加えハイペースで流れたために完全な外差し決着になった。あの時のイメージは持たない方がいいだろう。
まずはナムラクレア。
今更述べるまでもないが近2走が圧巻の内容。
特に前走北九州記念は中団からの競馬。本来は好位で運べる馬だが少しスタートが遅い時があるし、枠の差もあった。
当時内ラチ沿いは荒れていたようで外に張り出してくる馬も多く、最後の直線は馬群が横に大きく広がる形になった。
しかしラチ沿い1頭分のところ以外はまだまだ馬場がいい状態だったのか、
各騎手の見立てほど外が伸びるわけではなく結局は内を通った馬が上位を独占する形だった。時計も1分6秒台の高速決着。
そんな中で外枠発走から勝負どころで進路を確保できず詰まりながらの3着。
浜中Jも「まさか負けると思っていなかった」と落胆のコメントを残している。
好位からあっさり抜け出して楽勝した函館スプリントステークスの内容を見ればそれだけ強気だったのも頷ける。
今回は前走の反省も踏まえて序盤から好位を取りにくるだろう。高速決着も望むところ。
前述したように、少しゲートが遅いところがあるのでそこだけは注意したい。
メイケイエール。
昨年の当レースの時は「まともに競馬できないなら出てこないでほしい」なんて思っていたが、そこから1年で大きく変わった。当時は失礼致しました。
昨年は3枠6番からの発走だったがスタートしてすぐエキサイトし、コントロールがきかなくなって近くの馬を弾きながら外へ持っていかれる形。
道中もこらえきれず大外をマクっていく競馬で、これだけロスが大きくても4着なので3歳の時点ですでに能力だけならトップクラスだったということだろう。
あれから陣営が工夫を凝らして改善に取り組みその成果が出てここまで順調に実績を積み上げている。あとはG1だけ、というところ。
ただ、池添Jも「毎回が僕とこの馬との戦い」とコメントしているようにいくら改善したところで常に不安が尽きないのはもう仕方がない。
今回のメンバー構成だと前走のセントウルステークスほどハイペースにはならない可能性も充分あるので、そうなった時に当時ほどスンナリ折り合えるかどうかというのも懸念材料ではある。
そう考えるとメイケイエールにとってはこの枠でよかったのではないか。
内枠で被せられたり包まれたりするとまたスイッチが入ってしまいかねない。
今の馬場でずっと外を回る形というのは普通なら致命傷になりかねないが、距離ロスがあったとしてもスムーズに運べさえすればこの馬の能力なら間に合うはず。
ジャンダルム。
とにかくゲートが不安定で、それがそのまま戦績の不安定さにも反映されていたが不思議と荻野極が乗るとほとんど出遅れなくなった。
熱心にゲート練習に付き合っていたとのことなので、その成果が出たのだろうか。
陣営もオーナーもそれを評価しているのか、このところは勝っても負けても荻野Jで固定されている。
昨年のスプリンターズステークスと今年の高松宮記念でG1の壁に跳ね返されているが、臨戦過程で言えば今回は過去2回とは雲泥の差。
2歳時以来重賞での連対がなかったので賞金を加算したかったという意図もあっただろうが、どちらのG1も本番前に2走使われている。
昨年のスプリンターズステークスは北九州記念→セントウルステークスと使われて厳しいローテだった。
休み明けのシルクロードステークスで大敗し叩き2走目のオーシャンステークスを勝利して臨んだ高松宮記念に関しては、しっかりスタートを決めてレシステンシアの2番手で運んだまではよかったが思わぬ超ハイペースになってしまったのが誤算だった。
だが今回は今年春にオーシャンステークスを勝って重賞タイトルを重ねたことで、北九州記念から始動してこのスプリンターズステークスを目標に調整できている。
その前走の北九州記念は全く見せ場なしの大敗だが、もともと休み明けは今ひとつなのに加えトップハンデの58キロを背負いフルゲートの外枠で内有利の高速決着。
特殊な馬場で外に張り出してくる馬も多かったので最終コーナーではグルっと大外を回っていた。
正直、17着という結果は無視していいとさえ思う。
過去の戦績を見ても休み明け2走目は調子を上げてくるタイプで中山コースも得意。
更に中山芝1200mで荻野J騎乗時に限れば2戦2勝。
オーシャンステークスはソツなく先行してのちのG1馬ナランフレグを抑えての勝利であり、弱いメンバーに恵まれたワケでもない。
隣に逃げるであろうテイエムスパーダがいて自身は内の偶数番。
条件が整いすぎていて逆に不安になるくらいである。
三連系やワイドなどのオッズを見るともうバレてしまっている感があるが、狙っていっていいと思う。
ダイアトニック。
5歳だった2020年に高松宮記念3着のあと臨んだ函館スプリントステークスで58キロをものともせず好時計で圧勝した時は、この馬のスプリント路線での見通しは明るいかに思われた。
しかしそこから状態が悪化し長く低迷することになる。2021年なんかは1度しかレースを使えていない。
7歳になってよく立て直せたもんだと思うが、それでもかなりムラ駆けでアテにならないのは否めない。
今年の高松宮記念なんかはスタートで出遅れて終わってしまったし、もっと言うなら本馬場入場の段階から制御が難しくなるほどに気負い過ぎていてその時点で厳しかった。
その前の阪急杯では抜群のスタートから先行し、好時計で快勝しているのでコントラストが凄まじい。
戦績を見ていると、使い込まれるとよくないタイプなのかもしれない。
今回休み明けで臨めるのはこの馬にとってはプラスと見る。
前走の安田記念でもゲートはしっかり出ていたし、高松宮記念で出遅れたのは事故みたいなものだろう。
内の偶数番を引けたし、フレッシュな状態で函館スプリントステークスや阪急杯で見せた先行力を発揮できればこのメンバーでも充分やれる。
他に積極的に買い向かいたい馬がいない現状だがもう少し。
ウインマーベル。
古馬に挑戦した前走キーンランドカップは特殊なレースになった。
それまでの札幌芝のレースは外差し決着ばかりだったのでこのレースも外を回っていく馬が多かったが、結果は内を突いた馬が上位を占める形。
この馬は好位で運んで直線で馬場のいいギリギリのところを通れたと思うがそれより内をヴェントヴォーチェに強襲されて2着。
敗れたとはいえ内容は悪くなく年長馬相手でもある程度はやれるメドはたった。安定した先行力も魅力。
2歳時に1分7秒台で走っていたナムラクレアと違ってまだ1200mで速い持ち時計がないのがどうかというところ。
ナランフレグ。
新潟と中京しか走らない左回り専門だと思っていたが、いつの間にかすっかり右回りも克服した。
自分でレースを作れるタイプではないので、今年のオーシャンステークスのように差し届かないケースも考えられるが力をつけているのも確か。
高松宮記念で内を強襲して勝利したように、この枠なら今回も外を回さず内を突いてくる作戦かもしれない。
最終コーナーで少しバンク状になっている中京だと外に膨れる馬が何頭かいるのでその間隙を突いて内を突く戦法も取れるが、タイトな中山で当時の再現ができるかどうかがカギになりそう。
シュネルマイスター。
マイルチャンピオンシップが目標とはっきり言っているしいつも正直にコメントする横山武史Jの評価も厳しめ。次のことを考えるとこの枠から何か思い切ったことをしてくるとも考えづらい。
おそらく後方からになるだろう。不慣れなスプリント戦の流れでどこまで追い上げてこられるか。
ヴェントヴォーチェは同じ中山芝1200の春雷ステークスで1分6秒台の好時計で勝っているのは魅力だが、この夏に函館→新潟→札幌と3レース転戦して更に今回G1ということでさすがにお釣りがあるかどうか。
タイセイビジョンも外を回す一辺倒ではないとはいえ、追い込み馬なので展開に恵まれないと厳しい。
馬場と展開読みに優れた福永さんが乗ってくれるのは頼もしいが、どうしても他力本願な要素は消えない。
明日になって急に外差しが決まり出したりしたらあっさり手の平を返す準備はしておきたいが、今の所そうはならないと思う。
本当は4頭立てと言いたいところだがさすがに他もある程度押さえると思うので、勝負気配「B」としときます。