第63回宝塚記念。
京都競馬場改修の変則日程により今年も開催2週目での施行となる。
例年は開催4週目だったワケだが、昨年のレース内容を見る限りではこの差は思ったより大きいと思う。
昨年は少頭数のスローペースとはいえ、力が抜けていた勝ち馬以外は完全に内有利の前残りの決着。良馬場だったこともあり時計も速かった。
今年も少し降雨があったとはいえ馬場の傷みはまだ軽度。
例年なら開催4週目で梅雨時期ということもあって、極端なトラックバイアスがない年もある。
スタートしてからの直線が長いコース形態も相まって大外枠の馬でも却って競馬がしやすいケースもあったのだが、今年はおそらくそうはならないだろう。
先週のマーメイドステークスも前残りの内有利の決着で時計も速めだった。
季節柄、当日の急激な雨には注意が必要だがこのままの天候なら内の先行有利の傾向は続くと見ている。
今年はレースを引っ張るパンサラッサがいてタイトルホルダーやオーソリティやアフリカンゴールドやポタジェやウインマリリンも前に行きたいタイプで、ペースは速くなるだろうがそれでも先行勢に要注意。
枠の並びも考えて、1番人気でもエフフォーリアの巻き返しにかけたい。
前走の敗因について、中間の調整に若干狂いがあったとか関西初遠征が影響したとかゲートで少しアクシデントがあったとかいろいろ言われているが、それにしても負けすぎでどの理由も釈然としない。
不安がないわけではないがこの中間は天栄でしっかり調整されてきたし帰厩後も馬具を工夫するなどして、少なくとも前走のような状態ではないだろう。
今回のメンバーも昨年に対戦して負かした馬が多い。
関西遠征も2度目になるし、中山で強い競馬をしているので阪神内回りのコース形態自体は問題ないはず。
稍重発表の皐月賞で先行抜け出しからタイトルホルダーを3馬身突き放しており、極端な道悪でなければ馬場状態も不問。
この枠も先行勢を見る位置で競馬を運ぶイメージがしやすい。
タイトルホルダー。
1800mでも大逃げを打てるパンサラッサがいるのでさすがにテンのスピードでは敵わないだろう。他にも先行馬がいるのでおそらく2~3番手での競馬になりそう。
全5勝が逃げ切りだが、もともとハナに行けないと脆いタイプではないので強力な同型がいるからと言って過度に心配する必要はない。
むしろ前々走の日経賞のようにスローペースの瞬発力勝負になるよりはスタミナや底力を要求される流れになった方がいい。
実際、昨年の有馬記念でハナに拘るパンサラッサを行かせて番手の競馬を経験済。5着だったが大外枠が響いたぶんもあるので、よく粘っている。
その有馬記念や前走の天皇賞春に比べれば断然レースがしやすい枠が当たったし、少々馬場が渋っても問題ない。
カギになりそうなのはパンサラッサよりも1枠の2頭との兼ね合いだろう。
できるだけ序盤の隊列争いを無難に切り抜けたいところ。
ウインマリリン。
状態が悪く大敗した前々走のエリザベス女王杯から立て直して挑んだ前走大阪杯でも大敗。すんなり先行はできたものの、後半はズルズル下がる一方。
馬体減りの影響もあっただろう。
今回は早めに栗東に入厩して事前滞在で調整されている。
減っていた体は戻ってきているし、本来の力を出せればここでも通用すると思う。
先行力がありコーナーワークも上手く勝負根性があるタイプで、特に中山で強いパフォーマンスを見せている。
いい結果は得られていないが阪神内回りのコース形態が合わないはずがない。
昨年の天皇賞春にしても、外枠だったこともあって道中でなかなか内に入れることができず距離ロスのある立ち回りになってしまった。
3200mも厳しかったがそれでも最後までじりじり伸びて5着まで盛り返している。
欲を言えばもう少し内の枠がよかったが極端な外でなければ大きく割り引かなくてもいいだろう。状態が戻りさえすればまだ見限れない。
先週のマーメイドステークスで一昨年のオークス3着馬のウインマイティーが復活勝利をあげた。
そのオークスで2着のこの馬と勝ち馬のデアリングタクトも続いていく流れだったりするかも、と淡い期待をしている。
宝塚記念終了後は2020年のオークスって実はハイレベルだったよな!という話題で盛り上がっている…かもしれない。
デアリングタクト。
前々走ヴィクトリアマイルは6着だが充分に力は見せた。
1600mでも置かれることなく流れに乗れたし、最後は馬場の悪い最内を通りながらもじわじわと伸びている。
陣営が前走時は「今ならマイルの方が合うのでは」と言っていたのに今回は「距離が伸びた方がいい」と言ってみたりと、ご都合主義的なのが気にいらないが、前走の内容なら今回も極端に置かれることなくある程度の位置で流れに乗れそう。
一昨年の三冠獲得後から休養前までの戦績がジャパンカップ3着、金鯱賞2着、香港のQE2世C3着と期待値の高さを考えれば物足りない印象なのでまだこの馬の本当のところでのレベルや距離適性は測りかねている。
ここで真価を問いたい。
道悪は慣れたものなので、もし急激な雨でもあればこの馬にはプラスに働くだろう。
ヒシイグアス。
前走大阪杯は期待していたが、馬券内まであと一歩の4着。
予定していた香港遠征を中止して調整をやり直したことだったり初の関西遠征だったりが微妙に響いたか。
前走で1度使われたことで状態が上向き、関西遠征も2度目で慣れを見込めば前進を期待するのは当然。
今の馬場についても、開幕週の高速馬場で行われた昨年の中山記念を好位でしっかり流れに乗って勝利しているのであまり不安視しなくても大丈夫だろう。
2200mが初めてなのと、雨が酷くなって馬場が悪化した時にどうなのかという点が懸念材料になる。
ポタジェ。
前走の大阪杯は馬場の恩恵もあったとはいえ、速い流れを好位で追走して押し切るという強い内容。
ディープインパクト産駒だが、スローペースの切れ味勝負より厳しい流れの方が合うのだろう。
今回も
大阪杯同様に先行馬が揃い、スローの瞬発力勝負にはなりそうもないのでこの馬には歓迎材料。
ただ、今の馬場状態のままだとこの枠はいかにも厳しい。
ひと雨あってトラックバイアスが変わってくれれば狙いが立つ。
この馬は何と言っても右回りがカギで、左回りと右回りで別馬のような戦績。
ただ、過去の天皇賞春や有馬記念は枠順にも恵まれなかったし距離も厳しかったということである程度は目を瞑れると思う。
陣営も語っているように、まだやってみないとわからない部分があって過度な期待はできない。
最近は左回りだと安定して先行できているので、同じような運びが右回りでもできれば
今の阪神の馬場で最内枠というのはプラスに働くだろう。
ディープボンド。
前々走の阪神の馬場大賞典で速い時計にもある程度対応し進化を見せているが、やはり最近のレース内容を見ると2200mに短縮しての高速決着には不安を残す。
枠ももう少し真ん中か内めがよかっただろう。
ただ、スローペースの瞬発力勝負は避けたいこの馬にとって今回のメンバー構成は歓迎。できれば当日に降雨が欲しいところ。
パンサラッサは距離がやや長いと思いラビット扱いとしたが、馬場を踏まえれば逃げ残られても不思議はないのでそこが何とも難しいところ。
勝負気配「C」としておきます。
馬場に関しては、
極端な悪化さえなければ状態不問→エフフォーリア、タイトルホルダー、デアリングタクト。
できるだけ今のままがいい→ウインマリリン、オーソリティ、パンサラッサ、ヒシイグアス。
もっと雨が欲しい→ポタジェ、ディープボンド。
と評価しておく。異論は大いに認めます。